2012年02月06日

『闇の喇叭』有栖川有栖

闇の喇叭
闇の喇叭有栖川 有栖

講談社 2011-09-15
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長い廊下がある家 火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫) 妃は船を沈める (カッパ・ノベルス) 真夜中の探偵 (特別書き下ろし) 奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

 大東亜戦争後、日本は南北に分断され、北海道は“日ノ本共和国”として独立。日本国内では北のスパイが暗躍し、政府は警戒を強めていた。―そして平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立し、探偵狩りが行われている現代。少女・空閑純は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた…。母の出身地である奥多岐野に父とともに移住し、帰りを待っていた純だったが、そこで発見された身元不明の他殺死体が、父子の日常を破壊する(「BOOK」データベースより)

 もしも第二次世界大戦の終わり方が違っていたら……そう思いながら読んでいた、もうひとつの日本を舞台にした物語。本格ミステリだけど、パラレルものでもあり、戦争や国家体制を考えるものでもありました。事件のトリックよりも、私はこの世界観と設定や背景のほうが惹かれました。探偵行為が法律で禁じられているだけでなく、反米嫌米感情の高まりから英語名詞を漢語や日本語に置き換えて話したり、方言を話すことを禁じられたり、性同一性障害の人が自己の望む姿で生活出来なかったり、警察が昔の憲兵のような怖さを持っていたり……。人々が不自由な思いをしながら首を竦めて暮らしている、怖い世界です。
 主人公ソラこと空閑純の成長物語の要素が一番強いかな。作者があとがきでも書いているように、これは「はじまりの物語」で今後ソラがどのように成長していくのかが楽しみですが、その道程はつらく険しいものになりそうです。
posted by たかとう at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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