2012年03月16日

『日本人の知らない日本語3 祝!卒業編』蛇蔵&海野凪子

日本人の知らない日本語3  祝!卒業編
日本人の知らない日本語3  祝!卒業編蛇蔵 海野凪子

メディアファクトリー 2012-03-08
売り上げランキング : 3

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
日本人の知らない日本語 中国嫁日記 (二) 日本人の知らない日本語2 日本人なら知っておきたい日本文学 ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典 見とこ、行っとこ、トコトコ四国

 お馴染みのシリーズ第三冊目。日本語学校の教師凪子先生と、日本語を学びに来ている留学生達の面白エピソードの数々。毎回なるほどなあと日本語を母語とする私も関心する部分があるのですが、今回も上手くそれらを見せてくれていますね。さすがに三冊目ともなるとネタ切れするかなと思ってたんですが、いやはや言語というのは奥が深い。言葉の後ろには社会制度や風習も垣間見えますし、違う国の違う背景を持った人たちから見ると、いくらでも疑問は出てくるのでしょう。
 タイトルの「卒業編」の文字を見て「え、終わっちゃうの?」とさみしく思いましたが、どうやら舞台を海外に移した海外編があるようで、それも一冊にまとまって出るのかな。来日できている人よりも、日本が大好きで日本語とか習ってるけれど来日を果たせずにいる人達のほうが遥かに多いだろうし、そういった人達の日本観とか面白そうですね。次巻に期待しています。
posted by たかとう at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月06日

『闇の喇叭』有栖川有栖

闇の喇叭
闇の喇叭有栖川 有栖

講談社 2011-09-15
売り上げランキング : 178952

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
長い廊下がある家 火村英生に捧げる犯罪 (文春文庫) 妃は船を沈める (カッパ・ノベルス) 真夜中の探偵 (特別書き下ろし) 奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

 大東亜戦争後、日本は南北に分断され、北海道は“日ノ本共和国”として独立。日本国内では北のスパイが暗躍し、政府は警戒を強めていた。―そして平世21年。私的探偵行為を禁止する法律が成立し、探偵狩りが行われている現代。少女・空閑純は、かつて名探偵として名を馳せた両親に育てられたが、母親はある事件を追う最中に行方不明となっていた…。母の出身地である奥多岐野に父とともに移住し、帰りを待っていた純だったが、そこで発見された身元不明の他殺死体が、父子の日常を破壊する(「BOOK」データベースより)

 もしも第二次世界大戦の終わり方が違っていたら……そう思いながら読んでいた、もうひとつの日本を舞台にした物語。本格ミステリだけど、パラレルものでもあり、戦争や国家体制を考えるものでもありました。事件のトリックよりも、私はこの世界観と設定や背景のほうが惹かれました。探偵行為が法律で禁じられているだけでなく、反米嫌米感情の高まりから英語名詞を漢語や日本語に置き換えて話したり、方言を話すことを禁じられたり、性同一性障害の人が自己の望む姿で生活出来なかったり、警察が昔の憲兵のような怖さを持っていたり……。人々が不自由な思いをしながら首を竦めて暮らしている、怖い世界です。
 主人公ソラこと空閑純の成長物語の要素が一番強いかな。作者があとがきでも書いているように、これは「はじまりの物語」で今後ソラがどのように成長していくのかが楽しみですが、その道程はつらく険しいものになりそうです。
posted by たかとう at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月04日

『ノーマジーン』初野晴

ノーマジーン
ノーマジーン初野 晴

ポプラ社 2011-10-15
売り上げランキング : 187647

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
退出ゲーム (角川文庫) 消失グラデーション 極北ラプソディ ロートケプシェン、こっちにおいで 水の柩

わたしのノーマジーン。
わたしたちの物語を、どこから話そうか。
ふたりの友情のはじまりと終わりの物語を、どう伝えようか。
記憶の断片、思考の断片、想い出の断片、ふたりが築いた
全てが儚く散って消えてしまう前に――――
それでもきっと何かが残ると信じているから、ここに記しておきたい。(本文より)

 紹介文に寓話ミステリーとあったので、ミステリのカテゴリに入れました。なんとも不思議な雰囲気漂うお話です。
 終末論が囁かれる荒廃した世界。波打ち際には殺された男達の死体が上がり、新興宗教のボランティアがそれを片付ける。特殊な革製品の修理で細々と生計を立てている孤独な女性シズカのもとに、ある日人語を話す赤毛の猿ノーマジーンが現れた。そこから始まる一人と一匹の生活。一日一杯のミルクを分け合い、収穫を待ちわびながらリンゴの木を育て、映画を観る約束をする。やがてノーマジーンの秘密が明かされて……という話。
 シズカとノーマジーンの日々は穏やかだけれど、どこか胸の奥がざわつくような不穏なものも感じられます。このままふたりでずっと一緒に暮らしていって欲しいと読みながら思うけれど、ふたりの生活はとても儚いものなんじゃないかということも薄々感じるんです。事実、後半現れたある人物の語りによって、ノーマジーンの秘密が明らかになり、そればかりかシズカのバックボーンも分かります。
 ううう、つらいなあ。ノーマジーンが子供みたいに無邪気で純粋なだけにこの真相はつらい。最後のページの、このラストは救いなのだと信じたいです。
posted by たかとう at 01:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月03日

『消失グラデーション』長沢樹

消失グラデーション
消失グラデーション長沢 樹

角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-09-27
売り上げランキング : 16015

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア) ユリゴコロ メルカトルかく語りき (講談社ノベルス) 開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド) 鍵のかかった部屋

 私立藤野学院高校のバスケ部員椎名康は、ある日、少女が校舎の屋上から転落する場面に遭遇する。康は血を流し地面に横たわる少女を助けようとするが、少女は目の前から忽然と消えた。監視された空間で起こった目撃者不在の“少女消失”事件。複雑に絡み合う謎に、多感な若き探偵たちが挑む。繊細かつ大胆な展開、“真相”の波状攻撃、そして驚愕の結末。最先端で最高の青春本格ミステリ(「BOOK」データベースより)

 第31回(2011年) 横溝正史ミステリ大賞受賞作。
 ある高校のバスケ部が舞台。高校生活や高校生達のやり取りに違和感がなく瑞々しさを感じながら読んでたんですが、作者の方の受賞インタビューを動画で見て想像していたよりもおじさまなことにびっくり。すいません。でも、それだけ主人公やその周りの高校生達が自然で。
 主人公が思いを寄せていた少女が屋上から転落、彼女のもとに駆けつけた主人公は何者かに襲われて昏倒。そして目覚めたとき彼女の姿は消えていて……という話。タイトルにある通り消失ものとでもいいましょうか。屋外であること、平日の学校であること。開かれた場所だけれど、監視カメラや行き来する学生達による衆人環視によって、奇しくも密室と同じ状況になっています。少女はなぜ、どうやって姿を消したのか。
 正直、期待値上げすぎちゃったかなと思いながら読んでました。部活内のゴタゴタを延々読むのはしんどかったし、なんとなくはじめのうちから気づいていることもあったし。だけど読み終わってから少し日を置いてみると、良い青春小説だったなあと思うんです。読了直後は物足りなさを感じたんですが、今は不思議な爽やかさが残っています。全体に張られた伏線も注意深く繊細でした。
posted by たかとう at 00:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内ミステリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月02日

『風刺漫画で日本近代史がよくわかる本』湯本豪一

風刺漫画で日本近代史がよくわかる本
風刺漫画で日本近代史がよくわかる本湯本 豪一

草思社 2011-11-22
売り上げランキング : 24961

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 明治の頃、徴兵令が出された時、庶民はどう受け止めたか。富国強兵のためとはいえ、気が進まない者も多かっただろう。その微妙な心理は、当時の活字や写真資料ではわかりにくい。誇張され、象徴的に描かれた「風刺漫画」だからこそ、ストレートに、面白く理解できる。本書では、明治から終戦後までに描かれた、希少な「風刺漫画」を約200点紹介。「絵を見るだけで近代史の重要ポイントを理解できる」ビジュアル本である。(「内容紹介」より)

 戊辰戦争からサンフランシスコ平和条約まで、当時の風刺漫画を取り上げて市民がその出来事をどう捕らえていたのかが垣間見えて面白い。日英同盟が締結されたとき、戦争に突入するとき、日本人がどう思っているのかよりも、日本が他国からどう見られているかという視点で描かれていることが多いのは、日本人の国民性でしょうか。自己主張よりも他者の評価を気にするというか。
 教科書などで目にしたことのある有名な風刺漫画もありますが、ここに掲載されているほとんどは見たことのないものばかりでした。
posted by たかとう at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 国内その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする